小林豊子きもの学院のきもの豆知識

きもの豆知識
〇花嫁衣裳

                      

 

<白無垢>

   最も格式があり清々しい花嫁衣裳。

   もともと武家階級の婚礼衣裳から伝えられたものが白無垢です。無垢といわれるように、長襦袢から打掛に

         至るまですべてが純白です。

   打掛は幸菱(さいわいびし)、桧垣(ひがき)、紗綾形(さやかた)などの地紋、もしくは吉祥文様の

         紋綸子や紋朱子で、裏は共布を用い、厚い𧘱綿(ふきわた)を入れて仕立てられています。

 

   掛下は紋綸子または羽二重の袷仕立てです。帯は紋綸子で掛下帯と呼ばれる七寸巾(26㎝)の丸帯仕立てと

         なっています。

   その他に、抱帯(巾が約6㎝、長さが約2m70㎝で、もともとは打掛をとめるために使われていましたが、

         現在は花嫁衣裳や七五三の女児の帯下線に装飾用に用いられます)、付属品として綿帽子(神仏の前では花嫁

         は顔を出さない見せない習慣が、頭から顔を覆うような角隠しに変化したものといわれます。もう一つは頭を

         高くしないよう慎ましくあるようにと 願いを込めて)、懐剣(武家の女性が懐剣を所持した風習が一般化した

         もので、知恵と優しさを持って万一の時の覚悟や、いざというときには自分で自分の身を守るようにという意

       思、また魔除けの意味が込められています)、末広(新家庭が末広がりに栄え、永遠に幸せであるようにと

         祈りを込めたもの)、筥迫(装身具の一つ。江戸時代に化粧道具やお懐紙を入れた化粧ポーチのようなもの。

     懐に入れ、いつもはさんでおきます)を身につけます。

 

<色打掛>

   江戸時代から伝わる婦人の礼服。

   江戸時代の大奥などに見られるように、大名や階級の高い武家の奥方や姫君が人前に出るときに、小袖の上に

         もう一枚小袖を羽織ったものが現在の色打掛として花嫁衣裳に残されています。

   これは宮廷婦人の正装であるうちきの姿を真似たもので、また江戸時代には金持ちの町屋でも武家を真似て

   婚礼に用い始めました。紋綸子や縮緬地に染めや、金銀箔の刺繍で豪華に格付けされています。

   掛下は白とは限らず、打掛の色に合わせたり、比翼に色をつけたりします。

         かぶりものには綿帽子は避けます。

     打掛(掻取)とは婦人の礼服で、きものに帯を締めた上から肩に打ち掛けて着ることに由来します。

         丈はきものより約30㎝くらい長く、そのままでは引きずるので裾をとって歩くところから掻取とも

         いいます。

 

<お色直しの大振袖>      

     もとは五つ紋付黒振袖がお色直しの装いでしたが、現在は黒より、華やかな色振袖が用いられています。          

   大振袖と呼ばれるもので、柄付けも格調高く、帯は振袖の色に合わせて丸帯で結びあげます。

   角かくしをはずし、末広、箱迫(はこせこ)を用います。

   色直しは婿入り婚の平安貴族の頃から始まり、嫁入り婚になった武家社会でも、4日目から白無垢を色物に

         とりかえる風習が残されました。

         これを「色直し」と呼び、婚礼の式典と祝宴を1日ですますようになったのが江戸時代中期といわれ、

         現在もこの名残りをとどめています。

   伝統的な順序からいうと、色打掛も色直しの1つですが、そのあとさらに衣裳替えで頭のかぶり物をとり

         振袖になるのが一般的な形式です。

   披露宴で「色直し」はつきものですが、招待客の目を楽しませるだけのものではなく、

         衣裳の一つひとつに花嫁の心構えが表されています。